「ISAK」が求める生徒像とは〜小林りん氏に聞く


 ISAKは唯一の解では全くない

ISAKの案内資料

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——ISAKの動きはグローバル人材の育成を掲げる政府にとっての1つのモデルケースになり、国の政策にも影響を与えているのではないでしょうか。

「あまりそういった見方はしていませんでしたが、もしそうだとしたら少し怖いですね。たしかに政府の方とお話する機会は多いです。例えば、スーパーグローバルハイスクール(SGH、*1)の制度設計にあたっては、どのような規制緩和をすればよりグローバルな教育ができるかといったことを、文部科学省の担当部署の方から熱心にヒアリングしていただきました」

——すでにリーダーの種を持っている子を本物のリーダーに育てるという理念は、他の学校が簡単に真似できるものではないように思います。

「私たち自身、ISAKが唯一絶対の解とは全く思っていません。先生の9割が外国人で、生徒の7割が海外から来て、さらに全寮制という、すごく極端な事例です。日本の教育制度の中でもここまでできることを示してスペクトラム(分布範囲)を広げられたという意味では良かったですし、今後色々な学校が出てくるのを促進できれば嬉しいですが、それ以上でもそれ以下でもありません」

「生徒のニーズは十人十色ですし、どんな教育がベストなのか、つまり本当に行きたい方向と学校の方針が一致しているかどうかはそれぞれ違うと思います。子どもたちが大人になった時には、今存在する職業の大半がなくなっているかもしれないし、外国人労働者が増えて多様性に対する寛容力がないとやっていけないかもしれない。そういったますます混沌としてくる世の中においては、日本の教育の選択肢を増やすこと自体が大事なのだと考えています」

——将来的にはアジアの他の地域で学校を増やすことも考えているのでしょうか。

「それは考えていないですね。今回新設する学校の運営が軌道に乗れば、人数を増やすことは視野に入れています。現在は全校(3学年)の定員が150人なので、200人を超えるところまでは増やすかもしれません。私たちがインパクトを与えられる生徒を増やしつつ、でも小さなコミュニティにしかできない教育があると思うので、そこはバランスをとりながらという感じですね」

「もう1つは、私たちの学校だけでなく、日本の教育の選択肢を広げられるようなハイブリッド型の学校を作ろうという取り組みを支援していきたいと思っています。これは組織としてというよりも、私の社会貢献活動の一貫としてですね。現在はまず自分たちの学校を軌道に乗せないといけませんが、自治体や学校関係者の方にとって何かしらのご参考になるなら、協力を惜しまないつもりです」

(文:荒木勇輝、写真:吉田亮人)


*1: 国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を目指し、具体的な取り組みを進める高校を支援する文部科学省の事業。初年度にあたる2014年度は全国から246校の応募があり、うち56校を指定した。

小林氏プロフィール写真

【プロフィール】

小林りん(こばやし・りん)
1974年東京都生まれ。日本の高校を1年生までで中退し、カナダの全寮制インターナショナルスクール、UWCピアソン・カレッジに留学。同校を卒業後、東大経済学部を経てスタンフォード大学院で修士号を取得。国際協力銀行(JBIC)、国連児童基金(UNICEF)で勤務した後、2009年にISAK設立準備財団(現在は学校法人)の代表理事に就任。著書に不完全なリーダーが、意外と強い。」(角川書店、2014)がある。




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