民間出身教員が成果を上げる条件〜松田悠介氏に聞く

 

 「教員として結果を出せればどこでもやっていける」

——2年間のプログラム終了後のフェローのキャリアについてはどのように考えていますか。

「われわれが決めることではないですが、2年間やってみれば自分が教員に向いているかどうかが分かるはずです。例えば教員以外であれば、地域を巻き込んでいくNPOや、保護者の方々を支援する事業を立ち上げても良いですし、日本の教員養成の現状がおかしいと思ったら修士課程に進んでも良いと思います。TFAなど世界の卒業生の状況を見ると、約7割が学校現場に残っているようです」

——やはり教員を続けたいという人がかなり多いですね。

「まだ実際の卒業生が出るのはこれからですが、われわれが実施しているアンケートでもやはり7割くらいは学校現場に残ることを希望しています。出身地から遠く、もともと縁がなかった地域であっても、現場で子どもたちのために全力で関わっているうちに他人事ではなくなってきます。例えば首都圏出身で奈良県の学校に赴任したフェローが、奈良県の教員採用試験を受けるようなケースも出てくるでしょうね」

——民間企業も学校も経験した人材なら次のキャリアの心配は要らないということでしょうか。

「民間がどうこうというよりも、教員として結果を出せればどこへ行っても大丈夫だと思います。日本の教育現場で働くことは非常にタフですから、そういった環境で鍛えられた人間はハードワークにも耐えられますし、様々な関係者との調整をする中でコミュニケーション能力や課題解決能力、そしてリーダーシップも向上するはずです」

「一方で、現在は教員出身者というと狭い世界しか知らないように捉えられがちで、転職市場に出て行くとむしろ民間企業の出身者よりも評価が低いのが現実かもしれません。教員志望の優秀な人材を増やすためにも、そういった状況を変えていきたいですね」

(文:荒木勇輝、写真:吉田亮人)

【プロフィール】
松田氏プロフィール写真
松田悠介(まつだ・ゆうすけ)
1983年千葉県生まれ。日本大学を卒業後、東京都内の中学校の体育教員となる。教育委員会での勤務を経て、米国のハーバード教育大学院に留学。留学中にTFA創始者のウェンディ・コップ氏に出会って感銘を受ける。帰国後、外資系コンサルティング会社で1年間働き、退職してTeach For Japan を設立。著書に「グーグル、ディズニーよりも働きたい『教室』」(ダイヤモンド社、2013)がある。
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