「良いおもちゃ」とは何か〜岩城敏之氏に聞く


岩城さんインタビュー写真

誰もが幼少期に親しんだ、おもちゃ。おもちゃ専門店や量販店のおもちゃ売り場を訪れると、10年前や20年前とほとんど変わらないものもあれば、海外からの輸入品など以前は見当たらなかったおもちゃも普及してきたことに気付かされる。日本のおもちゃはどのように変遷してきたのか、そして「良いおもちゃ」とは何か。全国的に著名なおもちゃ店「キッズいわき ぱふ」代表の岩城敏之さんに、おもちゃ観を語ってもらった。

 日本のおもちゃは「お土産」の発想

ーー岩城さんが長年経営されている「キッズいわき ぱふ」には、全国からお客さんが来られるそうですね。

「このお店を開業してから28年、それ以前に父が経営するおもちゃ店で木のおもちゃを輸入・販売していた時期を含めると37年になります。1階は絵本と赤ちゃんのおもちゃ、2階は幼児のおもちゃを取り扱っており、3階には講演会や研修に使えるホールを設けています。絵本と木のおもちゃの専門店としては日本最大級なので、遠方から来てくださる方も多いですね」

ーーここ数十年の間に、日本のおもちゃはどのように変わってきたのでしょうか。

「歴史を少し遡ると、戦後の日本には貧しくておもちゃが買えない時代がありました。ブリキのおもちゃは作っていましたが、米国への輸出品だったんですね。昭和30年ごろから経済的に豊かになり、駄菓子屋で小さなおもちゃが売られるようになりました。素材もブリキからプラスチックに変わっていきます。そしてやはり、クリスマスで子どもにプレゼントを贈る文化が普及したのが大きいですね。高額のおもちゃも売れるようになり、テレビのCMにおもちゃが登場するようになりました」

ーーおもちゃの商業化ですね。

「1970年代に変身ベルトが一世を風靡したことからも分かるように、子どもたちは鳴ったり光ったりする派手なものが好きなんです。だから日本のおもちゃメーカーは、テレビ番組とタイアップして派手なおもちゃを作り、親たちもそれを子どもにプレゼントするようになりました。そのおもちゃでどう遊ぶかは深く考えず、とりあえず子どもが喜べば良いという、『お土産』の発想ですね。テレビのキャラクターを真似ながら、男の子はたたかい、女の子は魔法。『セーラームーン』のヒット以降は、女の子もたたかうようになりました。もっとも、こうした派手なおもちゃは飽きられるのも早いですが」

ーーたくさんのおもちゃを見てこられた岩城さんにとって、「良いおもちゃ」とは何ですか。

「30歳の時、おもちゃについて学ぶためにドイツに行きました。ドイツの人々は、食べたもので体が作られると考え、子どもに有機農法の食べ物を好んで与えます。同様に、遊んだもので心と頭と体が育つと考える人が多く、おもちゃも食べ物と同じように大切に選びます。それで、ドイツ人の考える良いおもちゃとは何かが知りたくて、色々な方に今されたのと同じ質問をしたんですね。幼稚園の先生、おもちゃ店の方、メーカーの方…返ってきた答えはみんな同じで、『それは人によって違います』でした。一人ひとりにそれぞれ『私の好きなおもちゃ』があって、それがたくさんの人に評価されると、結果的に『良いおもちゃだ』と言われる。だから、万人にとって良いおもちゃというものはありません。これは私が今でも大切にしている考え方です」

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