「ISAK」が求める生徒像とは〜小林りん氏に聞く


小林氏トップ写真

今年8月、長野県軽井沢町で全国の教育関係者の注目を集めるインターナショナルスクール「ISAK(アイザック)」が開校する。2009年に設立準備財団を立ち上げ、これまでサマースクールや英語を集中的に学ぶプログラムを提供してきたが、今回ついに常設校としての運営を開始することになる。学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢の小林りん代表理事に、設立の理念や求める人材像について聞いた。

 「真の多様性」の中でリーダーを育てる

——まずISAKの概要と理念について教えてください。

「今年8月に開校を迎える、日本で初めて1条校(*1)として認可された全寮制のインターナショナルハイスクールです。1学年50人の生徒のうち約7割が海外からの留学生で、授業はすべて英語で行います。先生も9割が外国人で、担当科目についての深い知識を持つだけでなく、それらを学校のミッションやビジョンに引きつけて語れる人を集めました。日本というより、アジア太平洋地域やグローバルな社会に変革を起こせるリーダーを育てることを教育理念にしています」

——リーダーとは、どういった人を指しているのですか。

「リーダーを育てると言うと政治家養成塾と思われるかもしれませんが、そうではありません。私たちが考えるリーダーとは、新しい価値観を世の中に送り出していく人です。そのためには何が必要かを噛み砕いて言うと、多様性への対応力があり、問題設定能力を持ち、リスクをとって挑戦できる。この3つの資質を持っている人を育てたいと思っています」

——そのためにどのようなプログラムを用意しているのでしょうか。

「高校3年間のうち、2〜3年次は国際バカロレア(IB、*2)の『ディプロマプログラム』に対応しており、1年次は準備期間という形です。自分の頭で考えることを重視するIBのプログラムが私たちの目的に合っているため、このような形にしました。ただ、それだけではリーダーを育てるには十分ではないと考えて、『Leadership by Design』という私たち独自のプログラムも用意します」

——独自のプログラムについて具体的に教えてください。

「まず、変革を起こすチェンジメーカーとなるためには、困難に直面しても決して挫けない精神力を備えていることが大前提になります。そのため、リーダーシップの基礎となる『Mindful Self-Discipline』を学びます。自身の内に意識を向け、軸を安定させるトレーニングです。己を知ることは、他者を理解するための一歩でもあると考えています。次に、リーダーシップを発揮するためのスキルを学びます。これはスタンフォード大学のd.school(*3)などの教育機関でも研究が進んでいる『Design Thinking』のメソッドを取り入れ、問題設定の方法とイノベーションのプロセスを学ぶプログラムです。そして『Social Services』。ISAKの卒業生には、社会をより良くするために変革を起こせる人となってほしいので、課外活動で地域に貢献するといった経験をしてもらいます」

「それ以外に、多様性という意味では全寮制ということが重要な特徴です。授業の中で先生たちが『こういう考え方がある』『一方ではこういう見方もある』と言っても、生徒同士がドンパチぶつかり合うような議論はなかなか起こらないと思うんです。寮生活のなかで、生徒たち自身が様々なバックグラウンドの仲間と寝食を共にし、宗教観などを含めて根本的なところで日常的に意見をぶつけ合うことが大事だと考えています。その中で自分と違う価値観を学び、いかに意思疎通を図っていくかが、多様性への寛容力を身につける上で重要な経験になると考えています」

——全寮制のインターナショナルスクールは日本では珍しいですね。

「全寮制もそうですが、もう1つの大きな特徴は奨学金制度が充実していることです。インターナショナルスクールでは生徒の国籍が様々であることを指して多様性と言うことが多いですが、ニューヨークでもロンドンでも東京でも、富裕層は同じような車に乗って、同じようなものを食べていますよね。同じ国の中でも経済的なバックグラウンドが違ったり、宗教が違ったりする方が多様だと思います。私たちはそれを『真の多様性』と呼んでいます」

——学費は高いけれど奨学金制度がしっかりある、ハーバードなど米国の大学のようなスタイルですね。

「質の良い教育を実現するにはどうしてもお金がかかってしまいます。ISAKでは年間の授業料が250万円、寮費が100万円かかりますが、生徒の2〜3割に奨学金を給付します。私学助成金などに頼るのではなく、経済的に余裕のある方からはしっかりと学費をいただき、その代わりに余裕のない方には奨学金を出す。教育格差を解消する1つの方法としても、こうした形を広げていきたいと思っています」

(次のページは リーダーになる人には種があるはず


*1: 学校教育法の第1条では「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校」を学校とし、設置・認可の主体や義務教育の理念、各段階での教育目的などを定めている。私設のスクールが1条校として認められると、私立学校振興助成法における助成の対象になる。
*2: インターナショナルスクールの卒業生などに国際的に通用する大学入学資格を付与する制度や、そのための教育プログラムを指す。参考ウェブサイト…文部科学省「国際バカロレアについて」http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/
*3: 米国のスタンフォード大学が設置しているプログラムで、世界的に有名なデザインスクールの1つ。http://dschool.stanford.edu

 




YOU MAY LIKE