民間出身教員が成果を上げる条件〜松田悠介氏に聞く


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教育系NPOの中でも知名度の高いTeach For Japan(ティーチフォージャパン、TFJ)は、主に社会人経験者から選抜した人材を、学校現場に教員として2年間派遣するプログラムを実施している団体だ。TFJの松田悠介代表理事に、民間企業から教員に転身して成果を上げられる人の特徴について聞いた。

 「最も重要なのはリーダーシップ」

——2013年度から関東・関西の小学校~高校に教員を派遣していますね。

「今年度は、1期生11名と2期生13名がTFJの研修を受けた教師(フェロー)として学校現場に入っています。現在募集している3期生は30名の採用を予定しており、研修を経て来年度に赴任します。来年度は2期生と3期生を合わせて約40名を学校に派遣する形になります」

——どういった企業の出身者が多いのでしょうか。

「業種は様々ですが、もともと教育に関心があって人材関連の企業に勤めていたという人が特に目立ちますね。あとは米国のTeach For America(TFA)などとグローバルに連携していますし、英語で授業ができる人材が欲しいとも言っているので、海外で留学・勤務した経験を持つ人からの応募も多いです」

——すでに教員免許を持つ人が応募してくるのでしょうか。

「日本では教員免許を取っても実際に教員になるのは3割です。われわれは残りの7割にアプローチして、民間企業に流れている優秀な人材を探しています。また、教員免許を持たない社会人を教員として受け入れられる特別免許状という制度(*1)もあります。今年6月に文部科学省が指針を策定してこの制度が使いやすくなったので、具体的な名前はまだ出せませんが、実例を作るために教育委員会と調整しているところです」

——派遣先の学校はどうやって開拓しているのですか。

「基本的には営業ですね。全国の教育委員会の中で、われわれの活動の趣旨に共感してくださるところと具体的な話を進めています。あとは市長など行政のトップに教育長を紹介してもらったり、地方議員など政治家の方の協力を得て教育委員会にアプローチしたりすることもあります」

——民間出身者を教員として派遣する意義について教えてください。

「民間出身であること自体が重要というわけではないです。TFAは年間数千人もの卒業生を輩出していますが、当然ながら成果を上げられる教員とそうでない教員がいて、その違いを分析した結果が『TEACHING AS LEADERSHIP』という本にまとめられ、ウェブサイトでも公開されています(*2)。成果を上げるために最も重要な条件はリーダーシップだということが分かっています」

「学校現場に入ると様々な子どもたちがいて、時には修羅場も経験しますが、その中でコミュニケーションを通して信頼関係を構築し、課題を解決し、理想に近づけていく必要があります。保護者とのやり取りや、地域のリソースをどう活用するかも重要です。これらはすべてリーダーシップの問題ですが、日本の教職課程はそれが身に付くプログラムではないですし、教員の初任者研修でもリーダーシップという言葉を聞きません。そのように考えていくと、社会に出て様々なプロジェクトを任された経験を持っている人の中に、優秀な教員になれる人材が多いのではないかということです」

(次のページは 理想が建前にしか聞こえなくなる時期がある


*1: 文部科学省「特別免許状制度」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/1326555.htm

*2: TFAの運営するウェブサイト「TEACHING AS LEADERSHIP」
http://www.teachingasleadership.org

 




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