「堀川の奇跡」は他校で再現できるか〜荒瀬克己氏に聞く


 

 教員に「専門外」を自覚させる

——堀川のような教育手法を採用するためには教員の意識の高さが求められると思うのですが、ベテランの教員でも意識の低い人がいるのが現状ではないでしょうか。

「なかなか難しい質問ですね。それはさておき、大量退職によって経験のある教員がどんどん辞めてしまい、若手の教員が力を合わせてやっていかないといけない時代になっています。若手のやる気をそぐのはいわば犯罪的な行為です。モデルとなる中堅やベテランのありようが一層重要になっています」

「授業の内外を問わず、成果が出ていないなら、長年やってきたやり方にこだわってはいけません。例えばこわもての男性教員が生徒を押さえつけるような生徒指導を続けても、状況が改善しないことはよくあります。生徒指導の担当を子育て経験を持つ女性教員に代え、生徒との話し合いを重ねたことで、問題の数自体を大きく減らせたという中学校の事例もあります」

——教員を研修などで教育するにあたって、どういった点を重視していますか。

「まず基本的な勉強をしなければいけないということです。中学・高校は教科担任制ですから、専門のことをきちっと勉強しなければいけません。小学校の教員は教える範囲が広いので『専門外のことは専門の先生に聞く』という意識を持つことが重要です。指導書の範囲を出ていない授業を見学すると、あれっと思います」

「児童や生徒に対してとてつもない影響力を持っているのだから、常に謙虚な姿勢でいなければならないということも一人一人に自覚してほしいですね。同時に、問題行動を起こす生徒がいたら大変でも正面から向き合わないといけない。教育もサービス業である以上、顧客の満足を追求するべきですが、普通のサービスと違って、子どもが大人になる10年後、20年後の満足が対象になります。現在の満足が将来の満足に優先されてはいけません」

(文:荒木勇輝、写真:吉田亮人)

【プロフィール】
荒瀬氏プロフィール写真
あらせ・かつみ
1953年京都府生まれ。京都教育大卒業後、京都市立伏見工業高校の教諭などを経て、98年〜03年に堀川高校の教頭、03年〜12年に校長を務める。現在は京都市の教育企画監として学校政策全般に関わっている。著書に「奇跡と呼ばれた学校」(朝日新書、2007)がある。
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