「良い幼児教育」とは何か〜小竹めぐみ氏に聞く

1107_01

「いないいないばあ」はなるべくやらない

ーー場作りに関して、特に意識していることはありますか。

「『否定語を使わない・語尾に意識をおく・探求中はしずかに待つ・きもちに共感する』という4つのルールがあります。また、おやこパートナーには、エンターテイナーにならないように意識してもらっています。『いないいないばあ』とかは、絶対とは言わないけれど、なるべくやらないようにしていますね。こどもは、自分の力で遊びを見つけることができます。大人はそのお手伝いをするか、一緒に楽しむか、見守っている…という形が良いと感じています」

ーー参加者にどのような変化があった時に嬉しさを感じますか。

「それはやはり、保護者が保護者でなくなっていく瞬間です。勤め先の肩書きと同じように、『母親』『父親』という肩書きも、普段は脱ぐことができない重いよろいのようなものだと思うんです。例えば私なら『小竹めぐみです』というように、よろいを脱いで一人の人になり、自分の気持ちに素直に向き合える場所にしたいですね」

ーー幼児教育には様々な理論や思想がありますが、プログラムの内容をより良いものにするために、参考にされているものはありますか。

「特にこれを取り入れよう!ということはなく、私たちがたくさんのこどもや大人を見てきた中で、確信のあるものを取り入れ、独自に生み出しています。自分と同じではない分野、つまり教育関係ではない分野から学ぶことが非常に多いですね。建築、アート、仏教、宗教、科学、天文、音楽…教育ではないところを探求していった先に、自分たちが大事にしていたものと同じものがあったり、違った角度のものが見えてきたり。そうした時にみずみずしい喜びを感じます。私自身は本を読むのが苦手で、人から話を聞いたり、体感したり、といった学び方が中心です。マニアックな人やオタクの人と話すのが大好きで、ずっと話を聞いていたいと思います(笑)」

(次のページは 子育てにおける企業の可能性


 



YOU MAY LIKE